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草燃える [くらいところ]

三浦主尾根プロジェクト、衣笠城址の記事で言及した三浦義明さんの消息が気になり、大河ドラマ「草燃える」を観てみることにした。
このドラマはご存知の方もいらっしゃるかと思うが、マスターの録画テープが、総集編以外制作サイドに残っておらず、結果現状では全話を市販できる状況にはない。それを観るには一般から収集された素材を公開しているどこかのNHKのアーカイブまで足を運ばなければならない。それはちょっと面倒なのでまたいずれの機会として、とりあえずはお手軽な総集編を観てみることにした。

当時の大河は時代を超えた傑作が多い。完成度が高い。見どころも多い。そうなれば当然のことだが、突っ込みどころも多い。そんな見どころ、突っ込みどころのおいしいものをいくつかリストアップしてみよう。(マツケンが若いだとか志麻姉さんはあんまりかわらないな、だとか、そういうどうでもいいことは除く)

1. オープニングの湯浅譲二の曲が何拍子かわからない(笑)
いきなりマニアックである。オープニング曲、いい曲だがノリが妙である。どうも最初の方は11拍子っぽいのだが途中でわからなくなる。色々な拍子がランダムに混在しているらしいと、以前ブラスバンド用アレンジのスコアを見たという人がネットでそう言っていた。

2. ナレーターが「噂の東京マガジン」である。
森本さん、当時はバリバリのNHKアナウンサーでした。

3. 台詞が現代語で視聴者の顰蹙をかった(笑)
第一部から適当に台詞を拾ってみよう。

例1)弟の子守りの担当が混乱しているときの姉妹の会話
柴本母「ほーんとにどうなってんでしょう。うふふふふ」 
志麻姉さん「笑い事じゃないわ!」
柴本母「まあ、お姉さまったら怖いお顔♪

柴本母(真野響子)の「お姉さま〜」攻撃は他でも出てくるが、かなり強力である。

例2)石橋山の負け戦から帰る男たちを待つ継母と娘の会話
大谷さん「(炒り豆をぼりぼり食べている保子に)それでも北条の人間ですか!」
柴本母「だぁ〜って〜、心配したって仕方がないでしょ?あたしたちが戦に出ていくわけにはいかないんですもんね〜
大谷さん「だからって炒り豆なんか食べることないでしょ!?」
柴本母「(母をじろりと見て)別に食べたってよろしいじゃありませんの!

ここでも真野響子はいい味を出している。
そして男性陣も負けてはいない。

例3)平氏政権で鬱屈した日々を送る関東武士の若者の会話
滝田さん「でもよぅ、世に無し源氏じゃどうしようもねぇや
マツケン「世に無し源氏?」
滝田さん「平家の世の中だからな、殺されないでいるのが関の山ってとこだよ
マツケン「源氏の世は来そうにないか」
滝田さん「来るもんかい。来やしね〜よ

男性陣は、伊東十郎役の滝田栄の台詞のやさぐれ具合が顕著である。

例4)家来の彼女を無理矢理奪った鎌倉殿とその家来との会話
兵ちゃん「のー小四郎、このことは二人だけの秘密にしておこーよ
マツケン「秘密?」
兵ちゃん「昔から気の合った主従というものは、誰にも口外しない秘密を持っていたものだが、俺たちがそうしたって悪くはあるまい?のー、二人だけの秘密。だからのー、政子には何も言うなよ

友達口調の、後の征夷大将軍、単なる恐妻家のスケベ親父である。

ざっと聴いた感じ、台詞は総じて現代語というよりも、女性陣は白鳥麗子系、男性陣は全盛時代の日活映画あたりに出てくるチンピラのイメージがする。今となってはどちらも古くさいが、それでも時代物の言葉の範疇ではないだろう。
私自身は実のところ、この感じは別に嫌いではない。昨今の時代劇はすっかり現代語が定着し嘆かわしい的な考えもあるが、じゃあ古い映画や芝居の台詞が昔の言葉かと言うと決してそうではない。あんなものは偽物である。「なになにでござる」だの「それがしがどうこう」だの言っていれば昔の台詞になるわけではない。江戸時代ぐらいならまだしも、鎌倉時代あたりを当時の言葉でしゃべったら、ほぼ現代人は理解できないだろう。だからどうせ現代的に言葉をくだくのであれば徹底すれば良いのである。それでも「ものには限度がある」のかもしれないが、私はこのドラマの台詞の持ち味が割と好きだ。
あと一応言っておくが、この現代語台詞、元々は原作の永井路子氏の小説の文体がこうなのである(読めばわかる)。だから、一概に製作陣や脚本家を責めるべきではない(笑)。

4. カメラワークが斬新(?)
専門ではないので詳しくは語らないが、当時はそれなりの評価を受けたらしい。
ズームとか、カット割りとかにはハッとさせられるところもあるが、同時に違和感も感じるのは、それらの手法が定着せず、現代までに継承されていないということなのだろうか。

5. 物語がドロドロしている
愛憎劇ドロドロ、あっち風に言えば宮廷劇陰謀ドロドロ。
平家打倒し鎌倉政権が落ちついても何のその、殺戮の嵐である。そう、大好きであるドロドロ(笑)。
そもそも主要人物に善人がほとんど出てこない。出てきても善人はだいたい早死にする(笑)。まさにOnly the Good Die Young(by Billy Joel)である。

6. 北条義時と伊東十郎の関係性、変化を含めたキャラの対比
↑うまく表現できないが、マツケン(北条義時)と滝田さん(十郎)の関係性が面白い。上記の会話では仲良しだった二人が、その後どうなっていくのか?
純真な青年(少年?)だったはずのマツケンの後半のダーク化は語りぐさになっている。

7. 特撮俳優が大量にでている
ウルトラ兄弟が二人、以前述べたが現役ライダーが一名(笑)。あとシルバー仮面と単なるウルトラマンオタクも出てている。(因に隊員とか含めれば結構他にも出ていたのですね。怪奇大作戦も一名でています)
これ以降、大河のキャスティングのキモは、歌舞伎や宝塚ではなく、特撮とプロレスになる。

8. 「少女人形」よりも前の伊藤つかさが出ている
これはどうでもいい(笑)。(炒り豆のシーンに出てました。少女やばい)

あとは、大姫のヤンデレぶりだとか、弁慶が出てこないのに「何だばかやろう」が出てきたとか、頼朝旗揚げの最初に血祭りにされる山木があんた後年頼朝やってなかったか?的な突っ込みとか、他にも、色々あるのだが、この辺でやめておく。

で、肝心の三浦義明さんなんだが、石橋山の敗戦でサインはVが十郎にぼこぼこにされたあと、房総に渡って頼朝待ちの、(多分)三浦義澄が時政に「わぬしも惣領息子(サインはVのこと)を亡くしたのか」と語るシーンがある。流れから言って、その会話の前後に義明(義澄パパ)の話題、エピソードが出てきたのではないかと思うのだが、総集編では三浦義明は登場はおろか、衣笠城とともに存在も語られていない。これは番組公開ライブラリーに急がねばなるまい(めんどくさいな〜)

総集編第一部の最後は、例の八介の一人である上総介さんが2万の兵を率い源氏側に与力し、再起を図るところで終わっている。上総介さん、石橋山で源氏方が200だの300だの言ってるところへいきなり2万である、無敵だろう。だが、その2万の武力を背景に横柄な態度を取ったのが祟ったのか、上総介さん後に粛清される。2万いれば、普通、源氏も北条も三浦も丸ごとつぶせると思うんだが。
源氏の頭領のような旗印がなければどうしようもないが、もしこのときに東国独立論を主張したと言われる上総広常が実権を握っていれば、関東の歴史もまた違ったものになっていたかもしれない。私は関東の歴史贔屓である。

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コメント 1

まさこどのおぉぉぉぉぉぉ......

"房総に渡って頼朝待ちの、(多分)三浦義澄が時政に「わぬしも惣領息子(サインはVのこと)を亡くしたのか」と語"ったのは、『草燃える』では三浦義澄(早川雄三)ではなく岡崎義実(小栗一也)でした。
ちなみに鎌倉殿の13人での同じシーンは、奇しくも三浦義澄(佐藤B作)でした
by まさこどのおぉぉぉぉぉぉ...... (2023-04-30 03:55) 

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