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三角点の探し方!?〜測地系??? [国土地理院、地図一般]


次に測地系の話。
まず、測地系とは何か?
緯度、経度、それに標高という地球上の位置を表す3つの次元の座標は地球が丸い()ことを前提に設定されている。ところが残念なことに地球は丸くない。亀に乗っかった象さんが平面の大地を背負っているとかそういうことではない。厳密に球ではないということである。西洋梨みたいなぷよんとした形をしているとかいう話もあるが詳しくは知らない。だいたい球なのではあるが、その球(楕円体)の形や座標の設定の仕方を厳密に決めておかないと、秒くらいのオーダーではやりかたによってズレが生じるということである。
その球や座標の決め方の定義を「測地系」と言う。

基準点成果等閲覧サービスによれば、三角点等の座標には、世界測地系(測地成果2011)が使用されているとのことである。これが何だかわからない。
例によってWikipediaは私には何を言っているのかさっぱりわからないので、色々探していたらこんなサイトが見つかった。
ここで引用されているソース元がこちらである。
さらに辿って、国土地理院ではだいたい以下のサイトがわかりやすかった。
要約すると、
  • 元々日本は日本測地系という日本独自の測地系を使用していた。(以下旧日本測地系とする)
  • GPS等の技術の発達により世界的に、ITRF94座標系(International Terrestrial Reference Frame:国際地球基準座標系)とGRS80(Geodetic Reference System 1980:測地基準系1980)の楕円体を使用した世界測地系というものが制定された。
  • 2002年、日本は従来の「日本測地系」を廃止し、世界測地系に準拠した測地成果2000(JGD2000 (Japan Geodetic Datum 2000))を採用することにした。
  • 2011年、東北地方太平洋沖地震によって、諸々の基準値、原点などが変わってしまったため、測地系をマイナーチェンジした。それが測地成果2011である。
しかし、最初のサイトソース元によれば、
事実上の世界標準測地系—WGS84
ところが、せっかく世界各国が、GRS80+ITRF94という測地系を標準にすることに合意したのに、その状況を単独で覆してしまう動きが生じた。それは、アメリカがGPSを運用する際に、GRS80+ITRF94ではなく、独自のWGS84という測地系に準拠することを止めなかったことである。アメリカが単独で開発・運用するGPSの功績と有用性は絶大なものがあり、しかもそれは、世界中に利用公開されたので、多くの人が測量や地理情報の表現にGPSを利用する結果、WGS84が、「事実上の」世界標準測地系となってしまった。
実にけしからん話である。
さらに、
実際は、WGS84とGRS80+ITRF94の間には、実質的な差はほとんどない。従って、実用上は、GRS80+ITRF94を使うべきところでWGS84を使ったり、その逆をしたりしても、ほとんど問題はない。しかしながら、WGS84には、アメリカが独自に頻繁にマイナーチェンジを施しているなどの問題も指摘されている(参考: 衛星軌道と測地成果2000との関係に関するFAQ)。そのようなことからも、WGS84を「世界測地系」と呼ぶことは控えたいものである(しかし、現実にはそう呼ぶ人は非常に多い)。
大手がスタンダードをぶち壊す、どこの業界も同じだ。困ったものである。

WGS84の話はひとまず置いておいて、日本測地系について調べてみる。

そういえば確かに何年か前、いや十何年か前か、に地図のなんだかが変更されたことがあったよなあ、ということは地学苦手だが地図好きな私には記憶がある。そのなんだかが旧日本測地系から世界測地系への転換タイミングだったようだ。
実際、この両者にどれぐらいの変更、ズレがあるものか検証してみよう。

国土地理院にその変換サイトがある。
ここで、以前の記事の大楠山三角点の座標を入力し、旧日本測地系に変換してみよう。

「数値入力」、「世界測地系→日本測地系」、「緯度経度」、「度分秒」にチェックを入れる。
数値の入力方法が図以外どこにも書いていないのだが、とりあえずは一桁だったら0を入れて度分秒の数値を羅列し、最後に秒以下の小数点をつければ良いらしい。(こちらでも苦労されたようだ(笑)

大楠山三角点の座標の場合
35°15′00″.2454 139°37′41″.0750
は、
351500.2454 1393741.0750
となる。
これを入力してみる。

TKY2JGD1.png

計算実行!

TKY2JGD2.png

結果は、入力(世界測地系)と出力(日本測地系)で、秒の十の位レベルで差が出ている。これは大きい。
ページの下に、出力側の地図が出ている。目一杯拡大してみよう。

TKY2JGD3.png

ん?ここはどこだ?私は誰だ?(なめこさんだろ)
ズームし杉たようだ。少しダウンする。

TKY2JGD4.png

うーむ、これは随分ずれている。数百メートルのオーダーである。

日本測地系世界測地系、うっかり間違えるとかなり凶悪なズレが生じることがわかった。

なお、上記サイトではYahooやMapionが日本測地系を使用しているとあるが、前々記事の検証ではこれほど大きなズレは生じていない。前掲のWikipediaが出典なのだそうである。Wikipediaの記述が古いのだろうか。これだからWikipediaは(以下略

さて、我々は地図としては主にGoogleさんを用いている。Google Mapの測地系はWGS84なのだそうだ。これはまずい。調べてみなくてはならない。

先ほどの国土地理院の「日本の測地系」には、
測量や位置決定に用いられるGNSS衛星の位置情報は、一般的には地球の重心に原点を置いたWGS-84座標系であらわされますが、同じ地球重心のITRF座標系との違いは実用上無視することができます。
とある。実際のところはどうなのだろう?
検証してみたいのだが、まず測地成果2011からWGS84に変換する手段がわからない。こちらこちらによれば、先程使用したTKY2JGD(Web版とダウンロード版がある。さっきのはWeb版)の前にTKY2WGSというものがあったのだが、現在は配布されていないらしい。それは困った。

検索をかけて色々探したら、こんなサイトの記事が見つかった。
「TKY2WGS」は基線解析に使う大雑把なWGS84座標を得るためのものです。別な言葉で言えば、日本の現行座標とWGS84座標との正確な座標変換プログラムは存在しません。
さぱーりわからない。
ここで言う「日本の現行座標」とは、旧日本測地系のことだろう。
ここだけ読むからわからないのか。さらに続けて読んでいってみる。
 現在、日本測地系と他の座標系(例えばWGS84)との正確な座標変換プログラムはありません。国土地理院HPには次のように記されています。

"WGS84系は,元来,数mの精度を目標に維持管理されている座標系なので、数cmの信頼できる変換パラメータは存在しません。"
ここまで、WGS84とGRS80+ITRF94を採用した測地成果2011に対立概念があるように認識していたのだが、そうではないのか?いや、アメリカはアメリカでWGS84を基盤とした精確な座標系が存在し、それをGoogle Mapが採用しているから日本の座標系をGoogle Map上でズレが生じるということなのか?

だめだ。まったく歯がたたない。
各座標系や楕円体個々のことは、上記に上げたいくつかのサイトを丹念に読めばわかるのだろうが、その運用上の関係性がわからない。
全員違うことを言ってるような気がする(笑)。
いや、同じことを言っているのに、定義が不明瞭か、地学を取っていない私がその定義を理解できていないだけなのかもしれない。

過去記事が十三峠で停まったままだ。これ以上、測地系に深入りするのはやめよう。(え?終わり?)

何のことはない。灯台下暗し、おなじみの愛しのサイト「三角点探し隊」にこんな記事があった。
一方、アメリカではGPSを中心としてWGS84といわれる座標系が利用されています。WGS84は軍事、航法、ナビゲーションの分野に適した測地系で、数回の改定の都度ITRF測地系に接近し、現在ほとんど同一のものと言います。
「ほとんど同一」がどの程度のオーダーかわからないが、前々記事の検証で、基準点成果等閲覧サービスで取得した三角点の座標値が、Google Mapでかなりの精度で表示されていることがわかっている。三角点探しの強者の方々のサイトの記述である。信用すべきではないだろうか。
測地系についてはこれ以上深く考えなくて良いだろう。(←思考停止かよ)



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